secret　name　～猫と私～
猫に接近してみましょう
セッテに出会って、はや一週間が経った。
起きてから夕飯まで、ほとんど離れることなく彼が隣にいる生活にも、少しずつ慣れてきた。
まるで通い妻……もしくは同棲のようだと思うと緊張するので、考えないようにしている。

突然入社してきて、そのまま正式な通達も何もなく佳乃の補佐になったので、社内ではいつの間にか“七海は高村主任の愛人”とか言われていた。

結婚もしていないのに愛人という表現が非常におかしいが、セッテも笑って取り合わないので、そのうち噂も消えるだろう。
こういうのは、躍起になって否定したりする方が怪しまれるのだと、佳乃は思っている。
だから彼女自身も全く気にしないようにしていた。
この一週間で噂が独り歩きをはじめるほどに、セッテは目立っている。

愛人だろうが、弟だろうが、何でもいい。

彼のサポートは的確だ。
世話焼きなのがうっとうしく感じたりもするが、それは優しさなのだと思う事にしている。

それに、仕事で自分のそばに居るのだ。

時折錯覚しそうになるが、彼はいつまでもそばに居てくれるわけではない。

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