secret name ~猫と私~
私は、ご主人様。
彼は、飼い猫。
佳乃は違和感を覚えつつも、仕方なく受け入れるしかない。
飼うという表現も、やはり好きになれなかった。
彼は人間で、飼う・飼われるという表現が似合わない、爽やかな笑顔の人。
時代錯誤な奴隷などではない。
物語の中に出てきそうな、なんでも出来る執事のようだ。
それなのに、セッテは自分を、まるで使い捨てのモノのように扱う。
その態度がいつも、佳乃の胸に引っ掛かっていた。
友達でもない、同僚でもない、仕事上のパートナーとも呼べない。
彼との関係は、猫と飼い主でしかない。