secret name ~猫と私~
声は届いているようだが、彼女の声を聞いた事が無い。
よくしゃべるセッテとは正反対の、無口な女性だ。
ふと、彼女の名札に目が行った。
佳乃のものと同じ。
この会社の社員が持つものと同じ、見慣れたもの。
“九条”
と書かれた名札だった。
ノーヴェ=9なのだと、セッテの名札を思い出して納得した。
イタリア語の数字の読み方は、インターネットで検索すればすぐに出てきたので、とりあえず10まで頭に入れておいたのだ。
「九条さん、今日は出勤なのね。」
努めてにこやかに話しかける。
ドアは佳乃が出た後に閉まってしまったが、その事に対してノーヴェは特に表情を変えない。
彼女はうなずく。
「そういえば、セッテ君と知り合いだったりするの?」
猫同士なのだから知り合いだろうと、聞いてみたのだが、セッテと聞いたノーヴェの表情が、ほんの一瞬、わずかに動いた。
よくしゃべるセッテとは正反対の、無口な女性だ。
ふと、彼女の名札に目が行った。
佳乃のものと同じ。
この会社の社員が持つものと同じ、見慣れたもの。
“九条”
と書かれた名札だった。
ノーヴェ=9なのだと、セッテの名札を思い出して納得した。
イタリア語の数字の読み方は、インターネットで検索すればすぐに出てきたので、とりあえず10まで頭に入れておいたのだ。
「九条さん、今日は出勤なのね。」
努めてにこやかに話しかける。
ドアは佳乃が出た後に閉まってしまったが、その事に対してノーヴェは特に表情を変えない。
彼女はうなずく。
「そういえば、セッテ君と知り合いだったりするの?」
猫同士なのだから知り合いだろうと、聞いてみたのだが、セッテと聞いたノーヴェの表情が、ほんの一瞬、わずかに動いた。