secret name ~猫と私~
各自解散になった会場は、掃除も済ませてあって、もうほとんど社員が残っていない。
佳乃は最後に出ようと残っていたが、今残っている社員のほとんどが、佳乃の部下たちだった。
手持ちぶさたのものもいるのか、丁寧に書類を揃えたりしている。

佳乃は、セッテに言われた言葉を思い出した。

『上司残っとったら、みんな帰りにくいで。』

ああ、そうか。
自分が帰らないから、彼らは帰れないのだ。
ざっと見まわし、控室にあったバッグを掴んで、会場に戻る。

「お疲れ様でした。」

聞こえるように挨拶をして、会場を出た。
出る前に少しだけ見えた部下たちの顔は、少しほっとしていたように思う。
そんなに怖い上司になってしまっていたとは、思っていなかった。

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