secret name ~猫と私~
会場の外はもう夕暮れ。
歩道は足早に歩く人があふれている。

さすがに疲れたのと、先程の部下たちの顔が、佳乃に大きく溜め息を吐かせた。
セッテの指摘を思い出さなければ、きっと彼らは帰れなかっただろう。
今まで厳しくし過ぎたのだろうか。
後悔は尽きない。

佳乃だって、嫌な上司になりたくてなったわけではない。
以前勤めていた会社でいた、嫌味な上司を反面教師にしようと、胸に決めていたのだが。

(なのに・・・私・・・)

嫌味な上司になっていた。
部下をしかる時も、いつも“しまった”と思っていても、そのままにしていた。
これでは、あの嫌味な元上司と、同じではないか。
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