secret name ~猫と私~
「「「「かんぱーい」」」」

届いたビールで、とりあえず乾杯する。
騒がしい店内で、グラスの音が小気味よく鳴る。
それだけでテンションが上がるから不思議だ。
喉を流れるビールの炭酸が、疲れた体を癒してくれた気がする。

「なんかほんと久し振りだよね!こうやってみんなで飲むのも。」

「私も、子供出来てから、こうやって友達と飲みに出づらくなったもん。」

母親2人が笑いあい、子供を育てる大変さを少し感じた。
妊娠中も授乳中も、アルコールは飲めない。
大学の頃や結婚前は、集まってよく飲み会していたのに、出来ないもどかしさ。
飲み会好きな彼女たちには辛かったのではないか。
それに、夫だけに子供の事を任せては出辛いのだろう。

佳乃にはまだ、想像も出来なかった。

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