secret name ~猫と私~
佳乃の会社にノーヴェもいることだし、複数人いることは確かなようだ。

「でも、猫って知ってたのは、課長と私ぐらいかなぁ?課長がいきなり連れて来たし。」

「うちもよ。社長に面接受けろって言われて、受けて・・・そしたら次の朝、うちに来た。」

セッテと出会った日を思い出しながら話せば、ぎょっとした顔で見られた。

「え・・・うちに来たって・・・会社じゃないの?!」

ドンとジョッキを勢いよく置いて、香里が詰め寄る。

「会社じゃなくて、私個人のサポート。」

「まさかそのイケメンと、朝から晩まで一緒なわけ?!」

更に詰め寄られ、頷く。
彼の仕事とはいえ、朝から晩まで。
しかも、一緒に通勤までしている。

「・・・何も無いの?」

「は?」



「だから、そういう雰囲気にならないのかって、聞いてんの!」



乾いた口を潤そうと、佳乃はビールを飲む。
少しぬるくなってしまったが、冷え過ぎよりはいい。

「無いわよ。それに、契約書に恋愛禁止って書いてあるし。」

武居に貰った、あの適当な飼い方マニュアルを思い出して、首を横に振る。
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