secret name ~猫と私~
きっと彼は、仕事で訪れた場所で、人間関係を構築したりしないと決めているのだろう。

たとえ、気が合う人間がいたとしても。

「イケメンだし、猫だけあって仕事も出来るし・・・料理も上手い。こんな彼氏いたら幸せよね。」

ぼそっと呟いた佳乃の言葉は、居酒屋の喧噪のなかでもしっかり届いたらしい。

「料理って・・・猫って、料理もするの?」

「うちに来てた猫は、毎日パソコン触るばっかりで、しかも定時で上がってったわよ?」

仕事は猫によって、本当に様々のようだ。
ノーヴェのように全くしゃべらず、ただ社長の願いで壊れた機材を直すだけの猫もいれば、香里の会社に居たような、パソコン作業のみの猫もいるのだろう。
セッテのように、生活を完全にサポートする猫も。


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