secret name ~猫と私~
やがてダイニングに朝食が運ばれ、セッテに促されてテーブルに着く。
相変わらず、彩の良い。
興味はトーストにレタスとトマトを添えたハムエッグ、それから野菜のたっぷり入ったコンソメスープ。
デザートはブルーベリーソースのかかったヨーグルト。

・・・少し、量は多い。

「いただきます。」

「おう。しっかり食べてや。」

テーブルの向いに座ったセッテの視線が、今日はやけに気になった。
友人たちに、あれこれ言われたせいかもしれない。

(・・・何もないわよ。)

心の中で、毒づく。
今まで彼との関係など、ビジネス契約以外に考えた事は無かった。
忙しかったのもあるし、契約書の件もある。
確かに一緒に居る時の空気は好きだが、彼は仕事で自分のそばに居るのだから。

(私は、この人の事・・・きちんと知らないしね。)

佳乃だって、一応理想がある。
別に美青年が良いとか、高収入が良いとかは言わないが、せめて身元がハッキリしている男性でなければ。

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