背中を合わせて【完】
それを聞いて、手に持ったお茶を見ながら未夜は答えた。



「本当は今日、ここに来ないつもりだったよ。」



未夜は朝起きてからギターを見ながら悩んだんだ。


未夜にとってこの公園はもう、ギターを持って歌える場所ではなくなってしまったから。


この公園にくる目的はもうなくなってしまった。



「でも、昨日の朝のことは感謝してるし、荒川にも名前は聞いたから。」


「うん。よかった。」



自然に笑う零の顔は、見るとちょっと恥ずかしくなる気がしたから未夜は顔を上げなかった。



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