背中を合わせて【完】
圭のいる駅の階段からは、駅前のロータリーをはさんで向こう側のそのコーヒーショップは、ほどほどにお客が入り、席は埋まっていた。


遠くて声までは聞こえなかったが、駆け寄ったカップルと楽しそうに話す女をみて思い出す。



(あの女...。公園の女じゃないのか?)



前に女が目の前の道を横切っていったときは一瞬の横顔しか見ていなかったのに、圭は確信してしまう。


ボーッとしている圭の前に零が現れても、圭の目線はそのままコーヒーショップに向けられたままだった。



「圭?なに見てんの?」



圭の視線の先を探ってみるが、零には何を見ているかが分からなかった。



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