背中を合わせて【完】
「あとたばこを...。」


「はい!こちらでよろしいですか?」



銘柄を言う前に店員はタバコを手に取ってみせた。


一応確認作業。



「それで。」



男も特に確認する様子もなく言い放ち、ポケットに入った小銭をあさって支払う。


この店員の営業スマイルを週に3〜4回は見ている。


それでもお互い雑談をかわしたことはなかった。



「ありがとうございましたー。」



店員のいつものかけ声を背中に受けながらコンビニを出て家へと向かう。


コンビニから歩いて5分も経たないところに男の家はあった。

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