背中を合わせて【完】
とりあえず話しの決着がついたので、母親をひとり残して部屋を出た。


玄関に向かう零の姿を見て、使用人がそばに寄ってきた。



「友達の家に行ってくる。そのまま明日学校に行くから、今日は帰らない。」



零の言葉を静かに聞いていた使用人はわかりましたと言って心配そうなおもむきで零を見送った。


玄関を出て庭を通り過ぎると、門の前に座っている圭の姿を見て駆け寄る。



「悪い!待たせたな。」


「平気。...って、お前大丈夫か?」



圭は零の赤くなった左頬を見て目を丸くした。



「ああ、これね。大丈夫大丈夫。」



零の表情がなにか吹っ切れたような感じがして、圭もすぐに安心した。
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