背中を合わせて【完】
花火の火が消えて暗くなると、座り込んで丸まった。



「未夜?」



零が心配そうに覗き込むのがわかった。


さっきまで花火を見ていた未夜の目は、夜の暗さに慣れない。


零の顔もよくは見えなかったから、零も未夜の顔はよく見えないと思って顔を上げてみた。



「どうして泣いてるの?」



そう言われてやっとわかった。


零に顔を見られたくなかったのは、涙がこぼれてしまったから。


でも暗いのに慣れた零の目には、未夜の顔はよく見えたんだ。



「楽しかったあとの静けさって虚しいね。」
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