背中を合わせて【完】
「送ってくれてありがとう。」


「どういたしましてー。こっちこそ、ご飯ありがとね。」


「また体調ぶり返さないでよ。」


「気をつけるよ。」



未夜の家は目の前なのに、繋がれたままの手のせいか、別れるタイミングがつかめない。


朝は6時になるといつも零があっさり帰っていたけど、こうやって夜に会うとどうすればいいのだろう。


そんなことを考えていたら、零が口を開いた。



「未夜。ちょっとだけ目つぶってて。」


「えっ?」



目をつぶってどうするのかと困惑していると、繋がれてないほうの零の手で未夜の目は覆われた。


必然的に目をつぶる未夜の心臓は激しく鼓動を刻む。
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