背中を合わせて【完】
「れ...い。...零。」



未夜は零の背中に両手を回して、ゆっくりと零に抱きついた。


壊れ物を扱うように優しく抱かれる零。


でも、零が遠くに行かないようにとしっかり抱かれていた。



「未夜、...。」



零が発した声は、小さくてすぐ消えてしまうくらい力の入っていない言葉だった。


零は未夜の背中に腕を回さない。


零が未夜のことを抱いてくれることはなかった。



「ごめん。俺は未夜の気持ちには答えられない。」



零は未夜の肩を持って身体から離した。


零の言葉に未夜の腕の力は入らなくなる。
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