背中を合わせて【完】
更に未夜は立っている足の力さえも上手く入らなくて、崩れるようにベンチに座った。


『零君は未夜に気があるんじゃないかって私は思うよ。』


凛がそう言った言葉。


未夜もその言葉を聞いてから零を意識し始めて、結果零を好きになった。


毎朝会うときだって、零の家に行ったときだって、今日のお祭りだって、零がもしかしたら未夜に気があるんじゃないかって思うようになっていたのに。


そんな希望も今打ち砕かれた。


じゃぁ零のちょっと強引な行動や優しい言葉はなんだったの?


そんな思わせぶりだけの行動と言葉だったらいらなかったよ。


最初から零の考えてることなんて、わからなかった。


それは、仲良くなった今でも変わらない。


零のことを好きだと思って、浮かれていた自分が惨めに思えてきた。
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