背中を合わせて【完】
「私、もうちょっとここにいるから。零は先に帰ってていいよ。」



必死に気持ちを伝えたときには上手く伝えられなかったのに、別れの言葉はすらすらと出てきた。


あれだけ止まらなかった涙も自然と止まって、冷静に物事を考えられる。



「家まで送って行くよ。」


「大丈夫。」


「そっか...。気をつけてね。」


「うん。おやすみ。」



未夜は自分の泣きはらした目が腫れていることはわかったから、零と顔を合わせなかった。


長い間涙も流さないで夜風に当たって、身体も心も冷たくなっていく。
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