背中を合わせて【完】
まだ寝ている両親を気遣ってそーっと家を出ると鍵をしめた。


水分の含んだ冷たい空気が肺に入っていつもの感じだと実感する。


その姿にはいつも背負っているギターケースが見当たらない。



(ごめんね。今日はお留守番しててね。)



外から自分の部屋の窓に向かいって心の中で言葉を発した。


雨の日はギターも濡れるし、公園のベンチも濡れていて座れないので、傘を持って未夜は家の周りを30分くらい散歩する。


雨が降っていない今日みたいな日に、ギターを持たずに家を出るのはとても久々で、なんだか手ぶらな手が淋しかった。


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