背中を合わせて【完】
考え込んでいても、ちゃんと耳に入ってきた。


間違いなく聞こえたのに、すぐに理解して受け入れることが出来ない。


そんな気持ちが顔に出て、唖然としつつ焦っている未夜を見て、零は笑った。



「未夜が好きだ。だからそばに居たい。でも未夜に依存して夢が消えてしまうのが怖くて、近付き過ぎないようにしなきゃって思ってたんだ。だから、お祭りの日も無理矢理未夜を突き放した。」



零の気持ちは胸が締め付けられそうになるくらいわかった。


未夜だって零が好きで、零が好きだからそばに居たくて、遠くに行ってほしくなかったから。


その気持ちは未夜の自分勝手な気持ちだし、零の夢を邪魔することになる。


間違いなく零を困らせるとわかっていた。


それとは逆のことを零も思っていたんだって知って、失礼ながらも少し安心出来する未夜。
< 424 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop