背中を合わせて【完】
お互いが相手のことを思っていながらも、自分勝手な欲はあったんだ。



「本当だったら、好きだって気持ちを伝えて未夜を残して日本を発つ俺はいい逃げみたいでどうかと思うけど、俺がこの想いを海外で育てる前に未夜が俺に会うことを求めてきたんだからおあいこってことで。」



そう言いかけると、零は未夜を抱きしめた。


お祭りの日は未夜が零を抱きしめても、零が未夜を抱き返せなかったぶんを埋めるかのように強く。


零には見えないけど、未夜の顔はあっという間に赤く染まる。



「この寒空の下で話してて、すっかり身体も冷えちゃったね。話長くてごめん。でも、全部未夜に伝えたかったから。」


「...うん。」



小さく返事をしたら、未夜も零の背中に腕を回した。
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