背中を合わせて【完】
やっと離れていた距離が縮まった。


ある程度の距離を保っていた壁がなくなったんだ。


今日は絶対に泣かないって思っていたのに、目頭が熱くて、こみ上げてくる想いが止められなくて、未夜の瞳は涙で潤された。



「未夜は今でも俺を好きでいてくれてますか?」



ふと、零から聞かれた質問。


お祭りの日から今日まで、たくさん零のことを考えてきた。


今日この場に立つまでに、いくつもの決心をした未夜。


零のことは変わらず好きだったけど、このまま関係がすべて崩れてしまうくらいだったら、いっそ普通の友達でもいいと思ってた。


自分は零の夢を応援する人間でありたいと、他の感情を押し殺してまで言い聞かせてきたのに、今この瞬間に未夜の決意は無駄なものになったんだ。
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