背中を合わせて【完】
そんな淋しい手を紛らわそうと自販機でカフェオレを買たけど、冷えた缶がとても冷たくてパーカーの袖を伸ばして見えなくなった手で持つ。


一口飲むと、口から食道を通って甘い液体が通っていく。


甘いものが嫌いなわけじゃないが、予想以上に甘っかったカフェオレを見ながらブラックコーヒーにすればよかったとちょっと後悔をした。


それからカフェオレに1口も口をつけることもなく公園に到着。


いつも座っているベンチにまっすぐ歩み寄る。


そのベンチと背もたれを合わせて向こう側を向いているベンチをそっと覗いたけれど、そこには誰もいなかった。

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