背中を合わせて【完】
ベンチに預けていた身体を起こして、女の後を追う。


足早に歩く女を小走りで追う男。


同然あっという間に男は女に追いついた。



女の歩く早さに合わせて、男が横に並ぶ。


隣を歩いて女の顔をのぞいてくる男に気にすることなく歩き続ける女。


男が浅くため息をつくのが聞こえた。


男は足を止めたようで女の視界から消えると、女は心をなで下ろす。


けれどすぐに女も歩みを止めることになった。


腕の痛みとともに。


安心したのもつかの間。


急な出来事に状況を確認する。


女が後ろを振り返ると、男に腕をつかまれていた。


男の力で、女は足を止めざるを得なかったのだ。

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