背中を合わせて【完】
女は腕をひねって、無理矢理男の手を振りほどいた。



「あっ。」



男が漏らす言葉など気に止めずに歩き出す女。


追ってくる足音は聞こえなかった。


公園の出入り口を通り過ぎようとしたとき、男の声が耳に入る。



「風見未夜さーん。」


「!?」



突然呼ばれた名前に反射的に足が止まった。



(なんで私の名前...。)



ゆっくり男の方を振り返ってみると、男は笑いかけて歩み寄ってきた。



「やっと止まったー。ちゃんと説明するから帰んないでよ。」



男が近づいてくるのとともに女は数歩後ずさりしたけど、すぐに追いつかれる。

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