背中を合わせて【完】
男は風見未夜(かざみみや)と呼んだ女の手を再びつかみ、そのままベンチまで引っ張って行く。


せっかく男から逃げた道を戻らされた。


未夜はせっかく振りほどいた腕がまた捕まれている腕を睨む。



「ああ、ごめんごめん。離すから座ってくれる?」



その言葉通りにつかまれていた腕が解放された。


同時に男はベンチに座り、ベンチをとんとんと叩いて『座りなよ』と言う。


男が叩いたところから離れて、ベンチの一番端にギターを抱えて座った。


その様子を見て納得した男が話始める。



「1年くらい前かなー。まぁそのぐらい前からこの公園に毎朝きてたんだ。」



(1年も前から!?なんで私気づかなかったんだろう...。)



男はまだ薄暗い色の空を見上げながら話を続ける。


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