夢みて何が悪い!
『あー久々にこんな遊んだかも』

隣で歩きながら
ぐーっと伸びをする蓮斗。


うぅ
なんか何をしても胸が締め付けられる。


『楽しかった?』


『ん、まぁな。』



楽しかった?
なんてなんか上からだったかな。


でも何をしゃべっていいのか…。



『カップルは遊園地の後観覧車でキスくらいすんだろな 』


『な、蓮斗のハレンチ』


いきなり何を言うのですか
この人は。



『は?ハレンチとかひでぇ。定番でしょ』


『だけど、古いよー』


『ぅわ、傷つく』


少し拗ねた表情で私の頭を
クシャっとかきむしる。


ドキッとする胸が痛い。


『あれ、柚乃?』


『………』


ボー全と立ち尽くす私に
困惑したように目の前で手をふる蓮斗。


この人、
からかってるのか、ただ天然なのか
それとも当たり前にすることなのか
よくわからない。


けれど、
それは反則だよ。


女の人たちにもするのかな。

なんて考えてしまって
泣きたくなるじゃない。



『え?柚乃?どした。俺なんかした?』


俯く私に慌ててそう言うけど
涙を見せたくない私は終始無言。


はー…
私って重症だな。


『柚乃?』


私は首を横に振って
大丈夫と小さく答えた。
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