Un chat du bonheur
階下に下りると、そこはいつか二人で約束したこじんまりとした花屋になっている。
特別忙しいというわけではなかったが、出会ったあの日から季節が5巡した日から、ここが二人の家になった。
結婚式は、開かなかった。
レアとリュックと、レアの田舎で、親しい友達とレアの家族と、ささやかで幸せで…少しくすぐったいパーティを開いた。
「もう、家族なんて出来ないって思ってた」
そう言って嬉しそうに笑うリュックに、レアの両親はいつでも遊びにおいで、とだけ言ってくれた。
レアは、リュックが幸せでいてくれるなら嬉しいと思った。
ブリジットは自分の事の様に喜んでくれて、今でも時々遊びに来てくれる。
恋敵だったはずのクレールは、少し寂しそうに…でも、今ではリュックといい友達になったようだ。
リュックが言うには、二人でよく遊びにも行っている。
色々とお節介をやいていたブリジットが、その後すぐにクレールと結婚したのも、二人を喜ばせたニュースの一つ。
色々な事があったけれど、二人は本当の「家族」になった。
「あ、そうだレア。今日が何の日だか知ってる?」
尋ねられて、レアは微笑む。
忘れるわけがない。
「今日はね、猫を拾った日」
悪戯っぽく笑うと、リュックが満足そうに笑った。
「今日はお店閉めちゃおうか」
「いいよ」
滅多に閉めないお店を、今日一日休む事に了承する。
そこでレアは思い出したように、あっと声を上げた。
「私、あなたにプレゼントがある」
「え、何?」
不思議そうに首を傾げるリュックに、レアはまた悪戯っぽく笑ってみせる。
なかなか答えを口にしそうにないレアに、リュックは困った様に首を傾げて見せる。
「見せてよ、言ってくれないとわからない」
「まだ、見せられないから」
レアが微笑むと、リュックもあっと声を上げた。
「まさか」
期待のこもった瞳でレアを見つめると、レアはゆっくりと頷いた。
「この前病院行ったらね、赤ちゃん出来てるって!」