Un chat du bonheur




階下に下りると、そこはいつか二人で約束したこじんまりとした花屋になっている。
特別忙しいというわけではなかったが、出会ったあの日から季節が5巡した日から、ここが二人の家になった。

結婚式は、開かなかった。

レアとリュックと、レアの田舎で、親しい友達とレアの家族と、ささやかで幸せで…少しくすぐったいパーティを開いた。

「もう、家族なんて出来ないって思ってた」

そう言って嬉しそうに笑うリュックに、レアの両親はいつでも遊びにおいで、とだけ言ってくれた。
レアは、リュックが幸せでいてくれるなら嬉しいと思った。


ブリジットは自分の事の様に喜んでくれて、今でも時々遊びに来てくれる。
恋敵だったはずのクレールは、少し寂しそうに…でも、今ではリュックといい友達になったようだ。
リュックが言うには、二人でよく遊びにも行っている。

色々とお節介をやいていたブリジットが、その後すぐにクレールと結婚したのも、二人を喜ばせたニュースの一つ。


色々な事があったけれど、二人は本当の「家族」になった。






「あ、そうだレア。今日が何の日だか知ってる?」

尋ねられて、レアは微笑む。
忘れるわけがない。

「今日はね、猫を拾った日」

悪戯っぽく笑うと、リュックが満足そうに笑った。

「今日はお店閉めちゃおうか」

「いいよ」

滅多に閉めないお店を、今日一日休む事に了承する。
そこでレアは思い出したように、あっと声を上げた。

「私、あなたにプレゼントがある」

「え、何?」

不思議そうに首を傾げるリュックに、レアはまた悪戯っぽく笑ってみせる。
なかなか答えを口にしそうにないレアに、リュックは困った様に首を傾げて見せる。

「見せてよ、言ってくれないとわからない」

「まだ、見せられないから」

レアが微笑むと、リュックもあっと声を上げた。

「まさか」

期待のこもった瞳でレアを見つめると、レアはゆっくりと頷いた。

「この前病院行ったらね、赤ちゃん出来てるって!」
< 43 / 48 >

この作品をシェア

pagetop