初恋合戦
国子と初江と樫男と樫次は、幼なじみだった。

国子は樫男が、初江は樫次が、初恋の相手だった。

四人の共通点は、スナオじゃ無いトコロ。

どんなに仲が良くても、二組のカップルが生まれる、ということはなく、

どんなに仲が良くても、大人になるにつれて四人は四人でなくなっていった。

国子は東京で、初江は関西でそれぞれ結婚をし、

ほぼ同時期に国子は長男を、初江は長女を儲けた。

樫男と樫次は、それから五年経った今でも、未だに独身。

縁あって、初江の実家でもある和菓子屋に世話になっている。

紆余曲折を経て、国子と初江も今は独身に戻っている。

「そんなに長くないんだろうな、俺たちは」

ゴトウが締めくくった。イノセに言うと肯定されるから、誰ともなしに。

「だからここらでいっちょ、大活躍といこうじゃないか」

こんどははっきり、チナツに言った。

チナツの特技はとっておき。

ずばり、バイリンガル。
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