初恋合戦
そのころ大人四人組は、先に目的地に着いていた。

「ふくえ――っ!」


初江が一番に飛び出す。


「あらまぁ、そこの四人組さん?

いいトシして意地張ってないで、参加なさったらいかが?」

見れば、どこぞの料理番組さながらのキッチンがつくられていた。

道具は揃っている。

「ふふふ……」

「初江ちゃんやめて!

麺棒振りかざして追い回していいのは、

食い逃げされたパン屋のおじさんだけよっ」

「俺、参加しようっと」

あんこや餅を見ていると、和菓子職人の血がさわぎだした。

「……俺も」

樫男までもがそそくさと受け付けに向かう。

国子と初江は、それぞれ自分の子どもを捜そうと人だかりの中に入っていった。
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