初恋合戦
敢えて言おう。

俺たち兄弟は和菓子職人だ。

オバアさんのパシリではない。

「んなくだらねぇことで上京させられたれら、たまんねぇよな?兄さん」

その手には、しっかり和菓子の包みを抱えている。

ちなみに新幹線の中。

「今更だろ」

樫男は取り合わない。

内心、それどころじゃなかった。

「苺大福合戦だってよ。なんだそりゃ。」

弟の気楽さに救われることもたまにはある。


だが、今は忠告しておきたい。

「他人事じゃ、なくなると思うぞ。樫次……」

自分たちが、初心を貫く覚悟なら。


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