Happy christmas with you
「水無月くーん。」

「なにー…?」

「水無月くん、彼女とケンカ中らしいって聞いたんだけどぉ?」


…ユウの眉間のシワがぐっと深くなった。気付いてくれ。今日のユウにその話題は地雷以外の何物でもないこと!


「あの…今その話しないほうが…。」

「霧夕は黙ってて!」

「はいぃ!」


…女って怖い。紗衣はこんなことしない。しかもなんでユウだけ水無月くんで俺は霧夕なんだよ!呼び捨てか!


「あたしたちと一緒に話さない?ってかあたしに乗り換えないー?」

「え、嫌だけど。」

「え…。」

「聞こえなかったー?…嫌。そんだけ。大翔、ジュース。」

「は?」

「ジュース持って来てやるよ。何がいい?」

「炭酸。」

「りょーかい。」


スタスタと二人組女子、そして俺に背を向けてジュース置き場に向かうユウの背中を見つめる。


「だから止めたのに。今日のユウは…というかそのネタは振っちゃだめ。機嫌、ただでさえ悪いんだから。」

「彼女、年下でワガママだって聞いたんだけど?」

「年下は正解だけど、ワガママはどうかなぁ…。というか、ワガママだとしても関係ないよ。だってそういうところも含めて大好きだからさ、ユウのやつ。」


そこまで言うと、二人組はちょっとバツの悪そうな顔をして俺の目の前からいなくなった。…ちょっと可哀想なことしちゃったかなとも思わないことはないけれど、…でも俺だってこれ以上機嫌の悪くなったユウを見るのは嫌だ。八つ当たりも嫌だし。


「はい、サイダー。」

「あ、ありがとう。」

「蹴散らした?」

「蹴散らしてはないよ。ユウの機嫌悪いから来ない方が身のためだよって言ってはあげたけど。」

「ふーん…。」


ユウが紙コップに口をつけた。

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