Happy christmas with you
「…雨音、今日可愛いじゃん。」

「珍しいな、ユウが可愛いとか言うの。」

「だってあれ、大翔のために頑張ったんだろ?」

「え…?」

「カンナもよく言うから。俺のために頑張ったって。雨音はそういうの言わなそうだけど、でもそうかなーって。」

「…だとしたら、嬉しいね、結構。」


自分のために頑張った、なんて。これはちょっと、ものすごく嬉しいかもしれない。


「気ぃー全然紛れない。カンナのことばっか浮かぶ。」

「俺も。」

「は?」

「あ、カンナちゃんじゃなくて、考えるのは紗衣のことばっか。」


俺の視線の先には紗衣がいる。女子に囲まれて笑っている。


「…すげー笑ってる。」

「うん。今日は本当によく笑ってる。この前さ、俺すごいかっこつけたこと言ったじゃん。紗衣の世界が広がっていくとか何とか。」

「あー…うん。」

「半分本当だけど、半分はちょっと複雑。ずっと俺の傍でだけ笑ってくれればいいのにとかも思ってる。…紗衣には言ってないけど。」

「ふーん。」

「でも、なんかそろそろ紗衣の前でもボロでそうでさ。…かっこつけていたいんだけど、かっこつかないよなぁって。」

「…かっこ、つかねーなぁ…ほんとーに。」

「カンナちゃん、サンタさん信じてそうだね。」

「年齢的に信じてたら引くレベルだけどな。」

「でも、そういうカンナちゃんを好きになったんだろ?」

「…んー…まぁな。」

「あ、素直。」

「言ってねーけどな、カンナには。」

「そこはお互い様ってことで。」


俺がそう言うと、ユウが小さく笑った。

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