Happy christmas with you
「そういうのは誰もいないところでやれよ!ったく!」

「ラブラブだねー雨音さんと大翔!」

「ナチュラルにラブラブだから可愛いって感じだけど。」

「そ…そんなことっ…!」

「べ、別に俺はマフラーまいただけだって…!あーもう行こう、紗衣!」

「わっ…大翔くん!」

「うちのクラスの最強バカップルが逃げ出したぞー!」

「聖夜なんだから逃げさせてやれよー!」

「お幸せにー!」

「雨音さん泣かせたらボコるからね大翔!」

「泣かせねーよ!じゃーな!メリークリスマス!」

「メリクリー!じゃーな大翔ー雨音さん!」

「う、うんっ!またね!」


言いたい放題のクラスメイトたちの声を背中に受けながら、俺は紗衣の手を握ったまま走った。
さすがのジンも追い掛けては来なかった。


「っ…はぁ…はぁ…。」

「あ、ごめん。ちょっとペース上げ過ぎた?」

「う、ううん。ど、ドキドキしててそれが苦しかっただけ…だからっ…。」

「あ、それもごめん。なんか普通にマフラーまいちゃったけど、みんないたんだよな。だから顔赤くなったんだ…よな?」

「う、うん。でも、嫌だったとかそういうんじゃないから。…嬉し…かったから…。」

「うん。ありがとう。紗衣がマフラー大事にしてくれて俺も嬉しい。」


紗衣が俺を見上げてにっこりと笑う。それにつられて俺も笑顔になる。
繋いだ手にきゅっと力を込めて歩く。そんな帰り道の空気は冷たいけれど、とりあえず手は暖かい。

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