Happy christmas with you
【夏海side】


「これでラストのページ…。」


ページ番号64。ここの誤字をチェックして、印刷をかければ終了だ。


「もうこんな時間…!」


腕時計の短針が11時をさす。あと1時間で12月24日が終わってしまう。


「っとオッケーかな、誤字はない。印刷っと。」


印刷機が起動し、1枚、また1枚と卒論の原稿が出てくる。全て印刷したらファイルに入れてひとまず持ち帰る。
…納得のいくものが仕上がった。これで心おきなく、会いに行ける。


印刷をかけている間に散らかした文献を拾い集め、片付ける。
空き缶は研究室のごみ箱に、メモ用紙ももう使わないから捨てる。
必要な書類はファイルに入れ、シャープペンシルとボールペン、そして蛍光ペンをしまう。


「終わった!」


印刷機から出てきた原稿に目を通し、印刷漏れや不鮮明な部分がないかを確認する。


「とりあえず大丈夫。」


ファイリングは明日でいい。ひとまず帰ろう。
原稿は別のファイルにしまい、暖房を止め、コートを羽織る。マフラーを巻いてから窓の鍵を見直す。…うん、大丈夫だ。


左手にだけ手袋をして、右手には研究室の鍵を持ち、研究室を出てから鍵を閉める。


滞りはない。…だから行こう。会いに。

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