Happy christmas with you
「…はぁー…やばい。気持ちいい。」


夏海さんの肩に顔を埋めて、夏海さんの香りをゆっくり吸い込む。一気に吸ったら眩暈がしてしまいそうだから。


「いい子、いい子。」

「え…?」


後頭部を優しく撫でる夏海さんの手と、耳元で響く夏海さんの声に驚いて、思わず変な声が出た。


「あ、ごめっ…小夏によくこうしてて…!」


ピタリと止まったその手に、なんだか物寂しくなる。


「…手、止めないでください。」

「え…?」

「頭撫でられるのとか、ちょっと嬉しいです。気持ちいい。」

「そう…?じゃあ…。」


夏海さんの手が優しく俺の頭を撫でる。そのリズムが、温もりが心地良い。


「…くすぐったいけど気持ちいいってこんな感じなのかなぁ。」

「ん?」

「小夏ちゃんが羨ましいなって思っちゃいますね。」

「…頭撫でられるの、好きなの?」

「あんまり撫でられた記憶がないんで今まで考えたことなかったんですけど、夏海さんに撫でられるのは好きです。」

「そっか。じゃあ、撫でる。待っててくれたご褒美。いい子だったから。」

「…いい子って、俺子どもじゃないんですけど。」

「じゃあ…いい…人?」

「それ、なんかそこまでって感じで距離ありますね。」

「じゃあ何て言えばいいの?」

「…いい…男?」

「ばか!それを自分で言ったら台無しでしょ!」

「確かに。あ、撫でてもらったお礼に、夏海さんもいい子いい子ー。」


夏海さんから少し身体を離して、夏海さんを見つめながら頭を撫でる。


「ちょっ…な…。」


慌てる夏海さんもやっぱり可愛い。顔まで赤くなってきた。

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