Happy christmas with you
ユウが珍しく真面目な表情をして、口を開く。視線はこっちには向いていない。


「そういう風に考えられるようになったとことか、変わったと思う。」

「え、そうかな?」

「うん。だから雨音は安心して行ける。ああやって。」


ユウの視線の先には時々笑顔を零しながら勉強を教える紗衣の姿があった。


「雨音が変わったのは明らかにお前のおかげだけど、お前が変われたのも雨音がきっかけだったから、それは雨音のおかげだって言えると思う。」

「な…どうした、ユウ?珍しくよく喋る…。」

「お前、上手い。ちゃんと雨音のこと分かってるし、泣かせたりしないし、傷付けないし。」

「…ユウ…?」


本当に珍しい。いつもどこか自信ありげなユウがこんなにも弱っているなんて。
…でも、冷静に考えればそのはず、か。ユウの周りには太陽みたいな女の子がいたから。あの子の元気がユウに笑顔もくれていたから。


「大事にすんの、難しい。」

「…それは俺もだよ。でも、ユウだってちゃんと大切にしてると思うけどな、俺。」

「…俺には大翔みたいな優しさはない。そういうの求められても無理。応えられない。」

「そんなの、カンナちゃんは分かってると思うけどなぁ。
でも、まぁ…カンナちゃんと何があったかよく分かんないけど、カンナちゃんはびっくりしたんだと思うよ。いきなり離れるってなって。あ、ほら、受験失敗するユウなんて想像できないから余計。」

「……。」

「だから急に寂しくなって感情的になっちゃったんじゃないかなーと。
あ、でも感情的なのはいつもかな?」

「…うん。いつも。
…お前、本当に優しいよな、いつでも誰にでも。」

「え、そうかな?」

「雨音はきっと、お前のそういうとこに救われたんだろーな。」

「カンナちゃんはユウの全部が好きだと思うよ。…言わなかったのも、怒ったかもしれないけど、でもそれでも好きだと思う。」

「…うん。知ってるよ、んなこと。」

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