Happy christmas with you
「甘え下手な夢がほんの少しずつ、自分で抱えきれなくなった部分を見せてくれて、それに寄り添うことで俺は夢を分かろうと思ってるんだ。
…そういう夢だから、本当はずっともっと甘えてほしいって思っていたし、甘やかしてあげたいなって思っていたけど…。
でもいざ、手放しで甘えられるとどうしていいか分からなかったよ。今の距離だから夢を大切にできてるんだなって思った。」

「…甘えたがりのあたしは嫌ってこと?」

「ううん、そうじゃないよ。甘えたがりの夢は可愛かったよ、子どもみたいで。
でも、今の夢にそれを強要したいとは思わない。今俺に甘えて、抱きついて、キスをせがんでって言っても無理だろ?」

「…無理。」


そんなこと、言えるはずがない。
…かつて、肌を重ねたどうでもいい男たちになら言えたセリフが、ショウの前では言えない。
でもそれは、ショウに想いがないからでは決してない。


「夢は夢のペースで、夢が必要な時に俺を頼ってくれればいいって再認識した。
だから甘えたい時には甘えてくれていいし、…もちろん、今のままの距離から少しずつ距離を縮めてくれても構わない。
俺の気持ちが夢から離れていくことはないわけだし、だから…。」

「ショウが必要だと思う時に、あたしを頼って…くれてる…?」

「え…?」


こんなに大事に想ってくれている人は、彼以外に誰がいるんだろう。
…きっと、彼以上にあたしを想ってくれる人はいない。


だから、あたしも…返したい。
たくさんの安心と優しさをくれた、大切な人に。
その想いに見合うだけの想いを、全てを。


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