Happy christmas with you
「…ストラップ?」

「うん。…お揃い。」


紗衣のカバンから出てきたケータイについている雪の結晶をモチーフにしたストラップ。紐の色が紗衣は白。俺のは黒だ。


「あ、ちょっとだけ色違うんだね。」

「うん。大翔くんのケータイ、黒でしょ?だから合わせようかなって。」

「…ありがとう。そういえばお揃いのものって初めてだね。」

「うん!何かお揃いで持ちたかったから…嬉しい。」

「俺も。あ、じゃあちょっと待って。今つける!」

「うん。」


そうは言ったものの、寒いのとストラップを入れるところが小さいのとで(もちろん俺のケータイだけが突出して小さいというわけではないけど)なかなか入らない。


「っ…なんだよ頑張れ俺の手!」

「大翔くんの方が長い間外にいたんだもん、手もかじかむよ。…貸して?」


ふわりと紗衣の少しだけ温い手が俺の両手を包んだ。その瞬間に手の力が抜ける。


紗衣は器用にも一発で紐を通し、ストラップを付けてくれた。


「ありがと、紗衣。」

「どういたしまして。」

「…じゃあ、行こうか。」

「えっ…。」


紗衣が驚いた声をあげるのも無理はない。だって今、俺は紗衣の手をぎゅっと握っている。


「俺の手、冷たいっしょ?だから暖めて、ね?」

「……が、頑張ります。」


そう言うと、紗衣がぎゅっと握り返してくれた。頬を赤く染めながら。


「顔赤いー!」

「も、もう!離すよ?」

「えー困る!離さないでよ。俺も離さないから。」


そう言うと紗衣は小さく頷いた。


「…大翔くん、本当に手が冷たいね。」

「心が温かいからねー俺。」

「それ、水無月くんに言ってもいい?」

「だめだめ!ユウに言ったらすげー冷たい目で見られるに決まってるし!」

「…確かにそうかも。最近機嫌もあんまり良くないし。」

「なー。でもま、紗衣にはあたんないけどね、ユウは。」

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