戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「今日は何だったっけ?」
「はい、知立家の姫の件でございます」
「ああ、はいはい。薫、記録を」
「どうぞ、姫」
今日の仕事は、先日の依頼の返事だ。
星で未来を占う【星見】の一族、知立家の姫の未来についてだ。
星見の姫は、男と交わると力がなくなってしまう。
だから、年頃になると、力の強い者は星見として残され、弱い者は手ごろな殿方に嫁ぐ。
私はその道を決めなければならない。
……気が重い……
どこの占い姫もそうだが、本人達の意思はほとんど無視で、
力と子孫をどう残していくかを、他人が決めてしまう。
まあ、武家の姫様たちだって、同じようなものだけれど……。
と言うか、何で他の占い姫の事を私が占わねばならないのか……。
「同じ一族の者が決めてしまうと、角が立ちますゆえ」
昔そうやって、疑問を乳母に投げかけたら、そう帰ってきた。
確かに、一族の中でもめるのは、誰しもが避けたいこと。
「ええと、あなたは力が強いみたいなので、星見として生きていくがいいでしょう」
待っていた星見の姫にそう告げると、姫はわっと泣き出してしまった。