戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「えー……?」
思わず嫌そうな声が露骨に出てしまった。
この男、武士のくせに……本気で情けない……
私の軽蔑のまなざしに気づかない博嗣は、頭を下げたまま、懇願する。
「お願いいたします!
…………お美しい登喜姫様!」
……お美しい?
そう言ったわよね?
まあ、なんと正直な若者なのだろうか!
私の博嗣に対する評価は、一変した。
うんうん、他人を素直に褒められる者は嫌いじゃないぞ。
「しょうがありませんね、少しの間だけですよ。
役に立たなかったり、家の女に手を出したりしたら、すぐに追い出しますからね」
「はいっ、承知いたしました!ありがたき幸せ!」
私は膝をつき、下がったままの博嗣の頭を撫でてやった。
「よしよし。そなた、年はいくつですか?」
「はっ、今年23になりました」
一つ年下か……。
うん、良いではないか、良いではないか。
面白そうなおもちゃ、見-つけたっ!
こうして博嗣は、音羽家の一員として、招かれることになったのであった。