戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
無礼者
「博嗣、弱ーいっ!」
「そうは申しても、篤姫殿、拙者は剣以外は本当にやったことがなくて……」
「はいはいっ、と」
「とほほ……」
庭では五人の子供と博嗣が、羽根つきをして遊んでいた。
私はお茶を飲みながら、のんびりとそれを見る。
十六のときに産んだ長女・篤(あつ)は、今年八歳になった。
彼女は羽根つきが強く、翻弄された博嗣は、顔中に墨を塗られていた。
まだ小さな下の子供たちは、砂に絵をかいたりして遊んでいる。
きゃっきゃとはしゃぐその子供たちは皆、私の子だ。
父親はいない。
夢見姫は他の占い姫と同じく、男と交われば夢見の力がなくなってしまう。
彼らは全て、念力で授かった。
私にとっては普通のことだが、博嗣はさすがに驚いていた。
隠す事もないので、夢見とはどういうものかという説明を一緒にした時のことだ。
『ま、まさか姫様にお子様がいらっしゃることも驚きなのに、
同じ人間でそんなことが出来る方がいらっしゃるとは……!』
そう言った博嗣は、結局子守役となった。
これまでの女達とは違い、朝から夕方まで全力で遊んでくれるので、
子供達も大満足して、夜は早く寝てくれるようになった。
それには全員助かり、感謝している。
何せ子供はじっとしているということがない。
起きている限り神出鬼没で、悪さばかりする。