戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「鳴海には、こちらの味方が何百人とやられておる。
あの首をとってさらすまで、
そしてあの者が持つ名刀を手にいれるまで、この戦は終わらないのだ」
「そんな……領地さえ手に入れば良いではありませぬか。
早く、戦などおやめなされ。
このまま続ければ、次に首を狙われるのはあなたです」
言い返され、豊橋は一瞬言葉を失い……
ふっと笑ったかと思うと。
突然立ち上がり、刀を抜いた。
あまりの速さに私の防御も追いつかず、悲鳴が上がる。
しかしその刀は、私の首の皮を切る寸前で止められた。
「夢見姫。大人しく鳴海の行方を捜してくださらんか。
聞けば、先日の戦いで、鳴海はこちらの方面へ逃げたという。
案外、近くにいるかもしれぬ」
豊橋はお願いすると言うより、脅迫するように声に圧力をかける。
「そうだとしても……私は知りませぬ。
人殺しの手伝いなど、誰がするものか」
「…………」
至近距離で私をにらんでいた顔の緊張が、だんだんと緩んでいく。
首から刀は遠ざけられ、違う方の手が私のあごをつかんだ。