戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「……気の強い、美しい姫だ」
「…………」
「姫の勇気に免じて、今日は帰るとしよう」
豊橋はあっさり身を引くと、またずかずかと出て行ってしまった。
「わああ姫様、大丈夫でしたかっ!?」
翁を送って戻ってきた薫が、青い顔で駆け寄った。
「大丈夫。どこも怪我は……」
「姫様ッ!!」
スパーン!!
騒然とする広間のふすまが勢いよく開いて、また悲鳴が上がった。
「博嗣か!驚かせるでない!」
私はふすまを開けて飛び込んできた博嗣を叱る。
博嗣はあわわと、周りに頭を下げまくった。
「姫様、東雲の領主が来たと聞きましたが……」
「遅い。もう帰ったわよ」
「あ、ああ、そうですか……
良かった、よくご無事で……」
彼はへなへなと、私の足元に膝をついた。
その手にはしばらくしまっておいた、あの刀がにぎられていた。
もしかして、助けに来たのかしら。
……良かったわね、来るのが遅くて。
ん……?そういえば……