戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
「あの人達、お仕置きされるんですかね……」
薫が気の毒そうに言う。
「……私は、無力ね……」
「姫様……」
「なんでもないわ。さ、戻りましょう」
ふと鳥の鳴き声がして、空を見上げた。
……なんて綺麗な青。
こんな綺麗な空の下、戦で血にまみれている者たちがいる。
借りだされた農兵たちも、今の使者達も。
私は誰一人、救うことができない……。
「なーんて、しんみりしたってしょうがないわね」
私は、わたしのできることをするだけだ。
そう言い聞かせて、部屋に戻る。
いつものように、縁側から子供達の声が聞こえない。
障子を開けるが、やはり庭には誰もいなかった。
ただ、一人を除いては……
「博嗣……」