戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
屋敷の裏の森に、数人の家来と共に踏み込んでいく。
音羽家の敷地は広大で、一人や二人ではとても回りきれない。
「あなたたちはあちらを探しなさい。
私たちはこちらへ行くわ」
「はい、姫様」
「くれぐれも、穏便にね」
家来はそれぞれ森の奥へ散っていく。
私は薫と二人で足を進めた。
すると……
ガサリ。
「!!」
数歩先の木の影から、枯れ葉を踏むような音がした。
「私が見てくる」
「姫様、お気をつけて……」
だから、立場が逆でしょうよ。
恐れで震える薫を置いて、私は進む。
まあ実際、私は強いから、良いのだけど。
皆、私の力を頼りすぎじゃないだろうか。
普通主人を一人にするか?
そんな事をブツブツ言いながら歩いていくが……
「……おかしい……」
足音がしたのは確かにこの辺りなのに、誰もいない。