戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
騒然となった屋敷から脱出し、子供と年寄りから森の奥へ逃がす。
そこを抜けると、東雲と西条の丁度境の、合戦場跡の山へ出るのだ。
切り立ったがけに囲まれたそこは、木は生えておらず、見通しは良い。
私は家来と家人を、山の上に行くように指示した。
もちろん、普通の人間の足で、短時間で行けるようなところではない。
ここまで来るにも、念力で起こした風に、後押ししてもらったのだ。
「頂上に着いたら、結界を張りなさい。
なるべく小さく、強力なものをです。
頼みましたよ」
霊力を持った妹姫たちは、力強くうなずいた。
「お母様、あれ……!!」
子供達が指差す方向から、灰色の煙が見えた。
とうとう屋敷に火を放たれたのだ。
「早く行きなさい!!
私が彼らを、ここで食い止めるから!!」
「いやよ、お母様!!」
「黙って行きなさい!!
おば様たちの言うことを、よく聞くのよ!」