戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
一人がけ下に残されたまま、私は子供達に手を振り続けた。
そういえば、博嗣はどこへ行ったのだろう。
先頭の方にいたのを、ちらりと見たような気もするが……。
「大丈夫よね……博嗣」
あなたはきっと、子供達を守ってくれる。
そう信じてるから。
遠くから聞こえていた呼子の音や、馬の蹄の音がだんだん近づいてくる。
どうやら、相手方にも結界破りくらいできる術者がいるらしい。
あっという間にその音たちは、私の目の前に現れた。
「ほほう、姫が一人でいるとは……これは好都合」
先頭にいた豊橋右京は、前に会った時と同じ、派手な朱色の具足と兜をつけていた。
馬から下りると、私の方へ数歩進んだ。
「どうだ、夢見姫。
素直にわしのものになれ。
そうしなければ、家人もろとも皆殺しにしてやるぞ」
……なんとも、わかりやすいものの言い方で非常に助かる。
今朝見た夢よりも、よっぽど単純明快だ。