戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】


「誰かいるなら返事をしなさい。

私はこの土地の管理者。

速やかに出ていってくれさえすれば、悪いようにはしない」



私は暗闇に向かって話しかける。


この土地に侵入してくるのは、大体戦で傷つき、道に迷った落武者だ。


屋敷の周辺は結界があるため、よほどの術者でなければ入れない。


しかし森は、周辺の猟師や百姓が獣や木の実を自由に採れるように開放していた。


子供たちの遊び場でもあったし。


しかし彼らの父親は皆、戦にかり出された。


だからその代わりに働いていて、今は誰も来ない。


この森にも、いよいよ結界を張る時が来たか……


そんな事を思いながら、辺りを見回す。


暗闇で目をこらすと……



「あ……っ」



一本の木の下に、具足を付けた男が寝ころんでいるのが見えた。


やはり落武者だったか。



「もし」



用心して、遠くから話しかけてみるが、反応がない。






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