戦国より愛を込めて 【六花の翼・番外編】
その瞬間を、博嗣が見逃すわけはなかった。
「断る!!」
そう怒鳴り、片手を翻す。
「!!」
弾は発砲されることはなかった。
豊橋の銃身に、博嗣の脇差が縦に突き刺さっていたからだ。
「そんな……、銃が剣に敗れるはずが……っ!」
豊橋は目を見開き、その銃から脇差を抜こうとする。
そこには今までの余裕はなかった。
「早くそのゴミを捨てろ。暴発するかもしれぬぞ」
「やかましいわ……っ!!」
豊橋は銃を地へ投げ捨てた。
そして、腰の刀に手をのばす。
早く攻撃すればいいのに、博嗣は武士らしく、
相手が武器をかまえるのを待っていた。